
子どもの「学校に行きたくない」を無視して通学させていませんか?不登校の生徒は年々増加していますが、塾を利用することで復学や受験に役立てることができます。
本記事では、不登校でも塾に通ったほうがよい理由と、メリット・デメリットを解説します。オンライン塾という選択肢もあるので、子どもが不登校で悩んでいる親御さんはぜひ参考にしてください。
不登校の生徒が増えている?
不登校の生徒は年々増えています。とくにコロナ禍による外出自粛で、学校に行く意欲が低下した生徒は少なくありません。
ここでは、過去の不登校者数と塾の選択について解説します。
2022年の不登校者数はおよそ30万人
2018年に文部科学省が行った調査では、小・中学校の不登校者数はおよそ16万人でした。しかし、4年後の2022年にはおよそ30万人まで増加しており、中学生だけでもおよそ19万人の生徒が不登校といわれています。
不登校になる原因はさまざまです。近年は「コロナ禍」が大きく影響していますが、それ以外でも学校生活や家庭でのトラブルなども含まれます。なかには、本人の問題が原因で不登校になるケースもあるでしょう。
不登校になる原因
先ほども述べたように、不登校になる主な原因は、学校・家庭・本人の大きく3つです。
学校での出来事は、いじめ・友人関係・学業の不振・ルール・入学時の不適応などが挙げられます。なかでも「友人関係のトラブル」は深刻な問題になりやすく、小学校でもスクールカーストに悩んでいる子は少なくありません。
中学校になると「中1ギャップ」が不登校につながるといわれています。
家庭での出来事は、親子関係が大きく影響します。とくに両親の離婚・再婚は子どものメンタルに重くのしかかり、学校に行く意欲を減退させやすいでしょう。
無気力・不安といった、本人が原因で不登校になる場合もあります。思春期はさまざまなことに葛藤し、悩む時期です。学校生活や家庭環境がうまくいっていても、不登校になることを十分理解しておきましょう。
不登校でも塾に通えるのか
不登校になると授業が受けられないため、学力の低下を心配する親御さんは少なくありません。だからといって、学校に行きたくない子どもを無理やり通学させると、ますますメンタルに悪影響です。場合によっては、社会に出ることすらできなくなるかもしれません。
最近はいろんな勉強方法が増えており、不登校の生徒をサポートする支援も受けられます。塾に通いながら自宅で勉強することも可能なので、学校に行かなくても極端に学力が低下する心配はないでしょう。
不登校の生徒が塾を利用するメリット
塾に通えば、不登校でも学力の低下を防ぐことができます。学習する意欲を失わずに済むので、受験にもおおいに役に立つでしょう。
ほかにも、以下のようなメリットが挙げられます。
学力の低下を防ぐ
不登校でも、きちんと勉強をすれば学力は低下しません。勉強方法は、自主学習・塾・家庭教師・フリースクールなどさまざまです。自分に合った方法を選ぶのが一番ですが、自主学習が苦手な人は塾や家庭教師などの対面授業がおすすめです。
塾は、学校のカリキュラムに沿って教えてくれるところが多いため、学力が低下しにくいだけでなく、同級生との学力の差もつきにくくなります。また、先生やほかの生徒とコミュニケーションがとれるので、対人関係にもよい影響を与えるでしょう。
学習する意欲を保てる
不登校だからといって、すべての生徒が学習する意欲がないわけではありません。なかには勉強を続けたくても学校生活に馴染めず、不登校になってしまうケースもあるからです。
塾に通えば「学びたい」という意欲を維持できるので、学力の向上にもつながります。学習する習慣も身につくため、不登校によって惰性になる心配もないでしょう。
復学しやすくなる
なかには、いつか復学したいと考えている人もいるでしょう。塾に通っておけば学力が低下しにくいので、復学後も勉強の遅れが気になりません。仮に中学生で不登校になっても、しっかり準備をすれば周囲と同じように高校生活を送ることができます。
実際、中学生で不登校になり、高校進学する生徒は増加傾向にあります。塾によっては進学に向けたカリキュラムを導入しているところもあるので、ぜひ自分に合ったところを選んでみてください。
受験に効果的
塾では、学校の勉強では不足している範囲も学べるため、十分な受験対策が可能です。受験に向けてわざわざ塾に通う生徒もいるくらいなので、不登校でも塾に通っていれば受験で有利に働きやすいでしょう。
内申点や出席日数を重視する公立高校は難易度が高くなりますが、不登校だからといって進学を諦める必要はありません。学ぶ意欲さえあれば、受け入れてくれる学校は多くあるでしょう。「中学校卒業程度認定試験」を受けるのもおすすめです。
出席日数に加算される場合がある
文部科学省では、塾などで指導を受けた場合でも、一定の要件を満たしていれば出席日数に加算されます。ただし、すべての塾が対象となるわけではありません。どうしても行きたい学校があり、出席日数が影響する場合は学校に相談して塾を探してもらいましょう。
社会性が身につくきっかけになる
学校生活できちんと人間関係を構築できていないと、社会に出たときのコミュニケーションに影響します。不登校は人との関わりが断たれてしまうため、家に引きこもったままだとコミュニケーション能力はどんどん低下するばかりです。
塾に通うことで人との関わり方を学べるので、自然と社会性が身につきます。とくに人間関係で不登校になっている場合は、塾での交流がプラスに働きやすいでしょう。
不登校の生徒が塾を利用するデメリット
不登校の生徒が塾に通うことで、さまざまなメリットがあることがわかりました。
一方で、以下のデメリットが生じることもあります。入塾を検討している方は、事前に確認しておきましょう。
復学を望まなくなる場合がある
塾に通うことで出席日数に加算される場合があります。しかし、出席日数に加算されるということは、復学したい意欲が低下する可能性があるため、注意が必要です。
学校は勉強を学ぶ以外に、集団生活で社会性を身につける場所でもあります。不登校になると集団生活を経験しないまま社会に出るため、今度は社会生活でトラブルが生じるかもしれません。
よほどの理由で学校に行けないことを除いては、できるだけ復学することが大切です。
塾に通うのは復学への大きな一歩になりますが、不登校を根本的に解決するのは困難です。それも踏まえたうえで、出席日数に加算される塾を選んでください。
塾で同級生に会いやすい
近隣エリアに塾がある場合、同級生と会う確率が高くなります。とくに規模の小さい学校は噂も広まりやすいため、通塾が億劫になる可能性があるでしょう。
塾を決める際は、事前に同級生が通っていないことを確認し、無理のない範囲で通えるところを選んでください。万が一自宅から塾までの距離が遠い場合は、親御さんの理解も必要です。
家計の負担になる
塾に通うには、月々の料金をはじめ、入会金・教材費・設備費などが必要です。遠方の塾を選んだ場合、交通費もかかってくるでしょう。
通わせたい気持ちはあっても、思いどおりにいかないのが費用の負担です。それでも塾に通わせたい親御さんは、自治体の助成金を調べておくことをおすすめします。
大阪府の「習い事・塾代助成事業」や千葉県の「教育サービス利用助成事業」、東京都の「中学生学校外学習費用助成事業」など、地域によっていろんな助成金が受給可能です。
まとめ
不登校でも、塾に通うことで学力を維持できたり、出席日数に加算されたりします。とくに昨今は塾以外にもいろんな勉強方法があるので、不登校だからといって将来を諦める必要はありません。
同級生に会いたくない人は不登校専門の塾や個別指導塾もありますから、子どもに合わせて最適な場所を選んであげるとよいでしょう。通塾がむずかしい場合は、オンライン塾を選択するのもおすすめです。
もちろん、メリットだけでなくデメリットがあることもしっかり理解しておく必要があります。